大豆煮
4日目の仕込み日、米麹が完成し塩切りをしているのと同時に大豆煮をスタートします。
赤味噌の場合は単に蒸すだけですが、白味噌の大豆は煮ます。さらに単に煮るだけでなく数回、煮汁の交換をしたり釜をわざと噴かしたりと、やや複雑です。
実際の作業は、先ず140~180㎏の大豆を浸漬していた水を抜き、新たな水を大豆の上まで張ります。そして再び水を抜き、また張ります。1回の水替えをしました。
次にボイラー蒸気で煮をスタートし、約1時間で沸騰してきます。沸騰してきたらそのまま釜の蓋に隙間を開けて噴かし溢れさせます。沸騰した湯といっしょに煮汁の上部にある灰汁と、剥け残りの大豆の皮を噴かすことで取り除きます。灰汁は雑味となり、皮は色を悪くするので白味噌にとっては不要のものです。その後は余分な煮汁を流して引き続き煮ます。
大豆が煮上がりかけたら、もう一度、水替えをします。一度、煮汁をすべて捨てて、新しい水を貼り、再び捨てます。また新しい水を入れ、煮を再開します。
再び沸騰し十分に熱が入ると大豆は口にして噛んでも歯ごたえがないほど柔らかくなり、大豆煮の完了です。
何故これほど水替えを繰り返すかというのは、大豆の色を抜くためです。やりすぎると味を悪くすので見栄えとのバランスで適度に行います。
脱皮技術がない昔は、大豆を脱皮せずに煮る工程で何度も沸騰、水替えを繰り返すことで脱皮と、色抜きをする「かぼし炊き」という手法があったということですが、九重味噌の大豆煮はそれに近い方法と言えます。
大量生産の白味噌ではこういった大豆煮は手間と時間がかかるので、圧力釜を使うほうが早く済みます。色はビタミン着色や、次亜硫酸ナトリウムで脱色するなどの方法も取られています。