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白味噌(西京味噌)についてお味噌の話

白味噌(西京味噌)で水飴を入れる本当の意味とは

水飴の入った白味噌白味噌(西京味噌)について

白味噌は甘さのために水飴を入れている!?
実は、ほかに目的がアル

多くの方が白味噌(西京味噌)は甘いイメージを持たれていると思います。

市販のパッケージ原材料表示を見てみると、そこには「水飴」がたいてい入っています。なので白味噌(西京味噌)がこの水飴のために甘い味になっていると思いがちですが、実は違うのです。

今日は白味噌(西京味噌)の甘さの秘密と、水飴を入れる本当の理由についてお話します。

白味噌(西京味噌)に水飴は意味がない

白味噌(西京味噌)の甘さの素を理解する

そもそも白味噌(西京味噌)の甘さは水飴が由来しているのか?

答えは「NO、いいえ」です。

確かに水飴は甘いですが混合比は約1割前後(九重味噌の上白味噌、白味噌の場合)です。1割というとイメージが湧かないと思いますが、和菓子は「砂糖」が原材料表示の一番最初に記載されているものがあります。原材料表示は原料の構成比の多い順番で書く決まりになっていますので、それからすると白味噌(西京味噌)の1割で甘さが出せるというのは少ないのではないでしょうか。

水飴由来の甘さでないと実感する例

白味噌(西京味噌)の製造工程で仕込は、「米麹」「大豆」「塩」「水飴」「種水」以上の5点を混合する作業です。(弊社の上白味噌、白味噌の場合)

その後に熟成するのですが、仕込直後の白味噌(西京味噌)はどんな味がするのか?

私が新人の時に、製造中の白味噌の味見をしていました。(もちろん手につまんで食べたりはしません(^_^;))

「塩辛いだけ」

不味くはないですが、美味しくないです。ただ、だしょっぱいだけで甘味のかけらもありません。この時点では水飴を入れる必要ってあるのかと疑問に思いました。

そして熟成後、新人の私はまた興味から味見をします。

すると「すごい甘みがある!」

ちょっと驚くのですが、熟成前と後では全く味が変わっています。

これが白味噌(西京味噌)甘さの秘密「糖化」です。
白味噌には米麹と大豆が入っています。熟成によって米麹の消化酵素がデンプンを糖に、たんぱく質をアミノ酸に分解します。甘味の素になっているのは糖の方です。

デンプンがブドウ糖などの糖に分解され、栄養学ではこれを「糖質」というそうです。

熟成発酵によってブドウ糖などの糖質が作られる、これが白味噌(西京味噌)の甘さの素になります。

では、熟成前から「水飴」を入れていましたので、水飴の甘さではないのです。

どんな水飴を入れているの?

すこし余談ですが、水飴自体はいったいどのような物を入れているのか。

縁日の出店で、割り箸に付けた水飴のお菓子を食べたことがないでしょうか。(何と言うお菓子か知りません(^_^;))

そのイメージですが、あんなに硬い水飴は製造上、扱い辛く使用しません。糖度が少し落ちますが文字通りの「水」のようにサラサラ流すことができる水飴を使用しています。

白味噌(西京味噌)に水飴を入れる真の理由

水飴は白味噌(西京味噌)の甘さの主な要因でないことは実感できました。では、不要とも思える水飴を何故入れているのか。

白味噌(西京味噌)に照り、光沢感を出すため

水飴の入った白味噌
無添加、国産原料100%の白味噌(西京味噌)

1枚目が画像が水飴の入った上白味噌。2枚目が水飴を使用していない極上白味噌です。

写真を撮った時の光の加減が違うので解りづらいですが、1枚目の上白味噌のほうが照りがあります。対して極上白味噌はやや落ち着いたマットな感じです。黄色さが違いますが、これは使用する大豆産地の違いです。

照り、光沢感を出す

これが水飴の真の目的です。
確かに水飴の有無だけで完成した白味噌(西京味噌)のツヤ、照り、光沢が全く違います。見た目に高級感が出るのでお客さんの好感アップが主目的です。

けど、お客さんは気にしているのか!?

おそらくはツヤ、照り、光沢感には気づいておられないと思っています。それにカップや袋のパッケージになっていると白味噌(西京味噌)の色やキメ細かさは目に見えても、光沢感はわかりません。

キッチンで使う際にも、料理してしまった後に光沢感が重要な料理ってあるのでしょうか?

ほぼ白味噌(西京味噌)に水飴は必要ないと思えてきました。

それでも水飴を入れるのはなぜ?

九重味噌では「上白味噌」「白味噌」で水飴を使っています。

私個人的には水飴は白味噌に必要ないと感じていますが、それでも使い続ける理由はこれまで積上げてきた味です。

上記、2点の白味噌は永く業務用や市販スーパー向けに販売してきました。長年の販売でお客様がこの味に慣れておられるので安易に変更することができない、もし味が変わってしまうと評判が落ちるのではないかと不安もあります。

また、本来ならば「極上白味噌」のように無添加にして米麹の糖化を生かし甘味を得るのですが、熟成後にすぐ酒精添加をする「上白味噌」「白味噌」は甘味ではどうしても極上白味噌を上回ることができない。なので補助的に水飴を使うことになっています。

水飴を入れることで白味噌の甘味を少し補助しますが、残念ながら熟成による自然な甘さには敵いません。また、食べた時の甘さが「しつこくなる」感じがあります。

水飴を使っていない自然の甘さを味わうなら極上白味噌を一度は味わってほしいです。

水飴不使用、自然な甘さの白味噌はこちら
Kokonoemiso Blog 著者

有限会社 九重味噌の5代目を務めております。

九重味噌の主人は歴代全員が醸造の勉強をしたことがありません。日々の味噌造りを通じて試行錯誤し、時に協力いただける取引先に教えを請い、五感を使って感じ取った実際の感覚を頼りに、その裏付けと改善を繰り返し、より良い米麹、より美味しい白味噌をめざして頑張っております。

2006年8月入社
取締役、味噌製造、地方営業発送、ホームページ運営を担当

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