2020年のお正月、九重味噌のお雑煮は美味しくいただけましたか?
九重家ではお正月を迎える前から、11月から仕込んだ白味噌の試食でお雑煮を食べて、
お正月も食べて、
年末にした餅つきの余りがあるので、1月半ばを過ぎてもまだ食べています。
今回、お話しするのは「熟成が行き過ぎた白味噌は美味しい」がテーマです。
今、九重味噌ではネット販売に使っている簡易のビニール袋をもっと保存性のいいものに変えて販売運営がやっていけないか、模索中です。
その一環で保存性能を比較するために保存試料の試食をしました。
白味噌は碑ね(古い)ほが美味しい
今回の試食で比較したのは以下の2点
12月上旬仕込みは年末販売の追加で製造した極上白味噌と、
11月上旬に仕込み梱包袋テスト用に充填した極上白味噌とを比較
仕込後の保存期間で1カ月経過と2カ月経過を比較したということです。
管理栄養士の奥さんに分量をきっちりと量って差が出ないように食べ比べしました。
上のお雑煮の画像は実際に試食したものです。
今回は鰹出汁です。
とろ~り濃厚です。
見ための比較は、
やはり見ためには11月上旬仕込みの極上白味噌は若干ですが色が濃くなっていますが、並べて比較しないと素人には判別はつかないレベルです。
テストに使用した梱包袋はガスシール性の高いものなのでその効果が十分発揮されていて良好な結果。
味の比較は、
なんじゃこりゃ!? うま!
11月上旬仕込みのほうが断然、美味しくなっていました。
具体的には甘さがとても強くなっていて、同じ白味噌とは思えないぐらい差が出ていました。
お雑煮を作った私の奥さんもちょっとビックリしていました。
業務用で取引のある板場さんからは「碑ね(古い)ほうが美味しいから古いのを納品するよう」言われることがたびたびあるので、改めて古い白味噌が美味しいと実感しました。
なぜ、古い白味噌のほうが美味しくなるのか?
お味噌ですから当然、寝かせることで発酵熟成するからなのですが、白味噌の熟成方法は他の一般にお味噌汁で使う米味噌とは違いがあります。
普通の味噌は天然醸造であれば気温で1年前後の時間を重石をして寝かせて途中は天地返し(お味噌を上下いれかえる)をやったりします。
そのほか速醸と呼ばれる方法は、人工的に味噌が熟成しやすい温度帯を保ち短期で熟成をしてしまいます。主にスーパーや業務用の味噌が多いです。
白味噌の熟成方法は熱仕込み
対して白味噌は熱仕込みとと呼ばれ仕込んだ直後から50℃以上の高温で短期熟成します。
これは甘酒の作り方と同じです。
作られた経験がある人は「なるほど」と思われるかもしれませんが、50℃という高温をかけるのは「糖化」させることが主な目的です。
この白味噌の甘さの秘密は過去にもご紹介していますので、よろしければご覧ください。
熱仕込み熟成後も白味噌は美味しくなっていく。
熱仕込みが完了すれば、商品として一応は完成・出荷することができますが、
今回のテーマ「碑ね(古い)が旨い白味噌」はここから後のお話です。
白味噌の米麹には糖化酵素が甘くするために大切ですが、もちろんタンパク分解に必要な酵素も持ち合わせています。
重要なのは糖化が完了してからも寝かしておけば熟成はすすむ、ということです。
極上白味噌は無添加、では酒精添加したものは?
今回、使用したお味噌は九重味噌の「極上白味噌」です。
このお味噌は無添加、つまりお味噌の添加物の代表格である酒精を使用ていません。
酒精とは、お味噌の発酵止めをするための添加物なので熟成を止めてしまいます。
では、完成後の白味噌を引き続き寝かしておいても酒精添加してあれば、熟成はされないのか?
という疑問が浮かびます。
添加よりも、やはり無添加がいい
結論は酒精添加してあってもお味噌の熟成は進みます。
ただし、そのスピードは無添加の極上白味噌と比べると、添加してある上白味噌、白味噌は熟成が遅いので慣れるまで時間がかかっている、というのが体感的な印象です。
けれども、寝かしすぎは禁物。
では、寝かせれば寝かせるほどいいのでは?
経験から言うと、白味噌を熟成させすぎると逆に辛さが増します。ある一定までは確かに甘さが増すのです。しかし、行き過ぎると甘さがボケて逆に辛くなります。