鶏肉の西京漬けの作り方の紹介です。
京料理などの和食のコースやお節料理で出される西京漬けですが、自分家の晩ごはん、昼ごはんで出すには少々面倒なイメージをお持ちかもしれません。
確かにキレイに焼き上げるには少々コツが必要だったり、漬けすぎてしまうと素材の味があまり感じられなくなったりと、注意がいりますが、実際の手順はそれほど難しいものではありませんので是非、挑戦して下さい。
マスターすれば定番の魚だけでなく、牛、鶏、豚も同じレシピが流用できるので料理のデパートリーが一気に増えてる嬉しいメリットもあります。
他にも、ホタテなどの貝類、野菜、たまごetc.
沢山、アレンジできるので料理も楽しくなります。
西京漬けとは
ひとつの料理名なので厳密な定義はありませんが、漬けには西京味噌を使うことに由来します。
京都を中心に近畿から広島、香川にかけて生産されている麹歩合が高く、低塩分6%前後の短期熟成された甘口のお味噌です。関西では一般に白味噌と呼ばれています。
都が京都から東京に移され、関東の人から「西の京の味噌」=西京味噌と呼ばれるようなったのが由来で、その味噌を使った味噌漬けを西京漬けといいます。
関西では西京味噌とわざわざ呼ばず白味噌とだけ呼ぶので、単に「味噌漬け」で通じたりします。
西京漬けに適した味噌
普通のお味噌では代用できない
「普通の味噌でも砂糖や味醂を混ぜれば代用できる」というレシピを見ますが、西京漬けにはなりません。
信州味噌などのように普段のお味噌汁で使えるお味噌は、塩分10%以上で辛くて使えません。
また西京味噌(白味噌)は特有の製造方法で作られているので、風味が全く違いますし、甘味も比べ物にならないほどあります。たとえ普通のお味噌に砂糖や味醂で甘みを付けたとしても、代用することはできません。
白味噌を使いましょう。
西京味噌(関西でいう白味噌)でないと西京漬けにはなりません。
選び方の基準は、塩分4~6%の表示を探して下さい。
普通のお味噌なら塩分10%ほどあります。信州味噌の中にも色が白くて間違えそうなものがありますが塩分を確認してもらえれば大丈夫でしょう。
画像は弊社の白荒味噌です。粒が残るタイプですが、濾しタイプの白味噌も普通に使えます。
鶏肉の西京漬けレシピ・作り方
約30分(漬け時間は含まず)、焼き時間15分ぐらい、フライパンで焼いた場合はもう少し時間がかかるかも。
手順1 味噌床を作る
準備した白味噌と味醂、料理酒をよくかき混ぜて味噌床を作っておきます。
手順2 鶏肉の下ごしらえ
下味は付けません。鶏肉の余分な脂身を取っておく。皮はお好みですが皮付きの方が焼いたときにパサパサになりにくいので、焼いてから取り除いても遅くありません。
400gというと多いと感じますが脂身を取り除くと意外と軽くなりますので、男性なら400gでガッツリ食べれます。
手順3 鶏肉を漬ける。
1、味噌の半分を広げる
容器はタッパーやトレイを使います。作った味噌床の半分の量をトレイの底に一面に均一に敷き詰めます。
2、鶏肉を並べる
下ごしらえした鶏肉を並べます。
3、残りの味噌を被せる
上から残りの味噌床を乗せていきます。鶏肉がすべて埋まるように注意します。
4、埋める
こんな感じで西京味噌で埋めまりました。
5、ラップで密閉
味噌床を全部のせれたらサランラップを被せてます。ここで漬け床とサランラップの間に空気が入らないように密着させるのがポイントです。
トレイにフタをして冷蔵庫で2~3日、漬けます。
手順4 味噌床の鶏肉を取り出す。
取り出す前に味噌床の表面や見えるところに鶏肉の水分が出てきて溜まっている場合はキッチンペーパーで吸い取ります。
何故かとういうと、鶏肉から出た水分は雑菌なので味噌床を繰り返し使い再利用するためには残さない方が良いのです。
漬ける前と後の写真を比べてみると、トレーの四隅に濁った濃いめの黄色い液が少し溜まっています。これは味噌床の塩分によって鶏肉から出た水分です。
繰り返し使うならば、取り除いた方が味噌床の硬さがゆるみません。
1、取り出します。
最初はスプーンやヘラでおおまかに味噌床をとってもいいですが、面倒なので最初から手で行きます。
2、こんな感じ
取り除いた味噌床はトレイに戻します。
3、仕上げにキッチンペーパーでしっかり丁寧に味噌を取り除きます。
水で洗い流す必要はありませんが、味噌が残りすぎていると焼くときに焦げやすいので、できるだけ取ります。
味噌床はキレイに使っていれば2~3回、再利用できるので平らにならして冷蔵庫に片付けます。
手順5 焼く
今回は自宅にあるIHグリルで焼きます。
設定は、鶏肉の付け焼きモードを選択すると約15分で焼き上がります。
普通のグリルの場合は弱火~中火で焼きます。焦げやすいので火力は抑え目にして時間をかけて焼きます。火の通りが心配なら、表面に焦げ目がついたらアルミホイルを火元と西京漬けの間に入れて時間をかけて焼くといいです。
フライパンで焼く場合は、クッキングホイルを引いて両面を焼きます。中まで火が通っているか心配なときはフタをしながら焼くと安心です。
手順6 使用後の味噌床
焼けたら盛り付けて鶏肉の西京漬けの完成です!
使用後の味噌床は2~3回、再利用ができます。冷蔵庫に入れて次回まで保存するのですが、鶏肉などの雑菌が味噌床に移っているので早めに次の具材に使ってしまいましょう。
西京漬けを美味しくするポイント
正しく白味噌(甘味噌)を選ぶ
白色や明るい黄色をしていて、かつ塩分5~6%前後の白味噌(甘味噌)を選びましょう。
前述しましたが西京漬けの特徴は、西京味噌(白味噌)の独特の風味が必要不可欠です。
なので、普通の味噌に砂糖・味醂等を混ぜて甘くしても風味が全く違いますので代用はできません。信州系のお味噌で明るい黄色をしていても塩分10%のものが売っているので間違いえないように注意です。
普通の味噌でも漬けれますが、西京漬けとは別の味噌漬けになります。
味噌床はシャバシャバにしない
九重味噌によせられる質問で多いのが味噌床に入れる味醂・酒の量についての質問です。
とくにシビアに考える必要はありませんが、味噌床が水っぽくシャバシャバにならなければ大丈夫です。今回のレシピの分量通りにするとまず大丈夫です。
入れすぎると味醂・酒の味や風味が勝ってしまい、西京漬け特有の風味が殺されます。
付け加えていうと、料理酒について飲酒用のお酒は避けた方がいいでしょう。良い調味料を使えば美味しくなるわけではなく、こだわりの酒は癖や香りが強いのでご家庭にある普通の料理酒の方が適しています。
漬ける時間
漬ける時間は2~3日です。素材自体に香りの強さによって違います。
漬けすぎると西京味噌の風味が付きすぎて素材本来の香りが薄れます。人によって好みも違います。ほどよいバランスを見つけるには少し時間がかかるかもしれません。味噌の風味が好きな方は長めに。
さすがに半日や1日は短いと思います。
西京漬け失敗ポイント
西京漬けは焦げやすい
取りきれずお味噌が残っている部分は焼くときに焦げやすい個所になります。ガーゼを使って味噌がほとんど残っていなくても普通の鶏肉や魚に比べれば焦げやすくなっています。
そこで、焼くときに一工夫します。
火加減は弱火~中火です。表面に焦げ目が付いたら、アルミホイルを火元と具材の間に入れて下さい。
そうすることで必要以上に焦げ目が付くのを防ぎつつ、弱火で時間をかけて焼くことができるので中まで火を通しやすくなります。
フライパンで焼く場合はクッキングシートを引いて焼き、両面に焦げ目を付けたらフタをして弱火でじっくり焼くことで中まで火を通します。
ガーゼを使おう。
鶏肉や魚などの具材を直接漬けてもいいのですが、身が崩れやすい魚は上下にガーゼを敷くと取り出しやすくなります。キレイに西京漬けを焼きたい方におススメです。味噌が残らないので焦げにくくなります。
西京漬け安く作るポイント
再利用方法
味噌床は繰り返し2~3回の使いまわしができます。コストが1/2、1/3になるのでお得です。
注意したいのは付けた後、塩分によって具材から水分が出てきて味噌床に水溜りを作ったりジュクジュクする部分が出てきたときはキッチンペーパーなどで吸い取るか、その部分だけ取り除きます。
具材から出る水分には雑菌が多いためです。
使い終わった味噌床は早めに次の具材を漬けて下さい。これも雑菌が味噌床に移っているので繁殖する前に使い切るためです。
すこし間が空く場合は味噌床を平らにならして、サランラップを密着させて空気を抜いておきます。そうすることで変色を抑えることができます。
西京漬けの具材は、例えば白身魚から赤身魚の順番にするなど汚れない具材から使い始めます。あるいは同じ具材で揃えるたり、肉なら肉系統だけにします。
繰り返し使用する限度は2~3回です。冬場なら安全ですが、夏場に冷蔵庫から長く出して調理する場合は注意して下さい。しっかりと火を通すことが食中毒予防になります。
節約術
味噌床は容器ではなく、ジップロックなどのチャック付きの保存袋を使うと大幅に節約できます。
味噌床を敷き詰めるので容器のサイズによっては無駄な味噌が多くなってしまいます。
ただ若干扱いにくいので慣れが必要です。最初は容器にした方が無難でしょう。
西京漬けいかがでしたか?
細かい注意やコツはいくつかありましたが、調理作業的には難しい工程はまったくありません。
お節や和食料理で出てくるお店の味ではなく、自宅で簡単にできるのが西京漬けです。多少、面倒ではありますが難しいイメージはなくなったかと思いますので是非、一度、挑戦してみて下さい。