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白味噌(西京味噌)の作り方、製造方法の解説

白味噌(西京味噌)の作り方、製造工程、手順

人の手でつくる麹蓋製麹の味噌づくり

味噌・米麹の作り方

白味噌づくりの一連の流れ

白味噌(西京味噌)の作り方、製造工程、手順

創業明治元年以来、140年以上に渡り「手作り味噌」を続けてこれたのは、九重味噌がとても小さな味噌屋ゆえに「こだわり」を捨てづに営んでこれたからです。

「手作り味噌」とは麹蓋(こうじぶた)という特殊な木製の容器を使って米麹を作る麹蓋製麹(こうじぶたせいぎく)という製法を指します。工程表の赤色の部分がそれに当たります。

現在、米麹作りは全て機械で生産することができ人が触れることもありません。それに対して手作り米麹は常時2名以上が必要であり、作業時間も長く過酷です。

それでも九重味噌が「手作り」こだわる理由は、白味噌本来の味が出せるから、です。

白味噌の作り方を以下でご覧頂ければ、更に美味しく召し上がって頂けると思います。

この製造工程表は九重味噌の作り方の基本です。作業人数3名、6日目で白味噌が出荷できます。商品にもよりますが1回の製造で約600kgを作れます。生産量を上げる為には工程を1日遅らせて別の製造をスタートすることで複数回の仕込みを行います。

機械で製造する場合は自動製麹機などが使われ生産量はトン単位になります。「手作り味噌」がいかに効率が悪く過酷かが感じて頂けると思いますが、同時に価格以上の価値も感じて頂けると思います。

白味噌の作り方 各工程の詳細

米麹を作る工程

米洗い

米洗い(米洗浄)、白味噌の作り方・製造

白味噌の米麹のもとになる米を洗います。表面に付いた汚れ、異物を洗い流します。

米ぬかなど汚れを洗い流し、同時に異物除去も行います。

十分に汚れや不要な雑菌を落とすことで後の麹菌の成長に影響が出ないようにします。ただ、洗いすぎると米が水を吸いすぎるので洗い時間に注意します。

米洗いの詳細へ

米の浸漬

米の浸漬(白味噌の作り方、製造)

洗浄した米はもう一度すすぎをしてから、水を吸わせるために漬けます。

浸漬時間は米の状態によって変えます。新米の場合は吸水が良いので時間は短くし、初めて使う米の時間調整はいつも難しいです。

浸漬時間が短いと蒸米が硬くなり麹菌にとっても悪く、逆に長いと粘りがでて悪く、作業効率も下がりますので最適な時間を知ることが大切です。

米蒸し

米蒸し、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

昨日に浸漬した米を釜で蒸します。

特注の蒸釜で120~270㎏の米を蒸すことができますが、白味噌、赤味噌にかかわらず米の量はできるだけ一定量にし、大豆量で仕込み量を調整しています。

米の種類や産地、年度のよって蒸し時間も10分単位で微調整します。蒸し上がる蒸米の硬さは指でひねり潰したときに形がなくなり餅状になる状態です。これを最適にしておかないと、米の浸漬同様に米麹になりにくくなったり、以後の作業がやりにくくなったりします。

種切り

種切、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

次は蒸し上がった蒸米を適温に冷却し、麹菌(もやし)をふりかける工程です。種切(たねきり)といいます。

放冷機(ベルトコンベア)に通し、風を通し自然冷却します。

その日の気温、工場温度、室温度によって目標にする冷却温度は違います。種切した蒸米で麹菌が順調に成長するために温度は非常に重要です。これまでの米浸漬、蒸しも大切ですが、冷却温度は米麹作りのスタートと言えます。

米蒸、冷却、種きり一連の詳細へ

引き込み

床に引き込む、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

種切の終わった蒸米を、室(むろ)という麹を作るための専用の部屋へ素早く運び込みます。

室の中には床(とこ)という温度が一定に保てるよう断熱してある水槽形の場所があり、そこに蒸米を入れます。

ここから麹菌を成長させる工程に入っていきます。

引き込み

床もみ

床もみ、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

引き込み後、数時間寝かしたあと、床もみを行います。

粉砕機を使い団子状に固まった米を砕きほぐして行きます。

床もみとは、種切りした蒸米の均一化、新鮮な空気を与える工程です。この作業も出来るだけ素早く行い品温が適温を下回らないよう注意します。翌日の米麹盛りまで室温28℃前後に保ちます。

ここまでが白味噌の作り方手順の2日目までです。

床もみ

米麹盛り

麹盛り、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

3日目の早朝、前日の床もみを終えた床にある蒸米を150枚の麹蓋(こうじぶた)に盛り分けていく工程です。この時点で蒸米の表面はやや白くなり、米麹らしい状態になっています。

麹蓋とは60×25cm、深さ5cmの杉材の入れ物です。全部で150枚以上あり、一つ一つ升で量り米麹を盛っていきます。

それを立積み15段に積み上げ3時間ほど寝かし、麹蓋の上段下段を総入れ替えする積替えを行いさらに3時間ほど待ちます。

米麹盛り

米麹の手入れ

米麹の仕舞手入れ、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

米麹盛りから積替えを経て約6時間、次は一枚一枚の麹蓋の麹を広げていく「手入れ」を行います。

この時、各麹蓋の麹の品温は40℃以上になっているので、手入れをすることで品温を下げて均一化し、新鮮な空気を与えてやります。

その作業を約150枚ある麹蓋すべて行い、それぞれの麹蓋の状態に適した幅でずらして積み上げていきます。

室温30℃、湿度90%の熱中症になりそうな過酷な部屋で1時間の作業が始まります。

米麹の手入れ詳細へ

手入れ後、出麹までの管理

出麹、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

手入れが終了するのは午後2~3時、その後は米麹の品温に注意を払いながら適温になるように室の温度、各麹蓋のずらし幅を調整します。

この日で麹作り3日目、一晩を温度管理し4日目に完成となります。

手入れにより放冷した品温が再び上昇してくるのが午後6~11時の間です。麹菌の成長に伴いどんどん上がる品温を観察して、それに合った調整をしてやります。

米麹作りは、まさに育てる感覚です。成長する麹に合わせて環境を整えてやります。写真は4日目の完成した米麹です。

米麹の塩切り

麹の塩切り、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

米麹完成の4日目。室から出てきたばかりの米麹と塩を混合する塩切りの工程です。

白味噌は赤味噌・田舎味噌の塩分10%に比べ塩分3~4%と非常に低いため均一に混合することが大切です。

写真のように麹蓋をたくさんの桶に均等に落としてゆき、そこに予め決められた量の塩を加えて攪拌機で混ぜます。小分けで撹拌することで均一化して品質も安定します。

撹拌は熟練した2名で息を合わせて素早くしていきます。約30分弱で麹蓋150枚分の米麹と塩を撹拌します。

この作業は複数の白味噌の仕込みをする場合、他の工程と常に重なる作業なので社員(男性)は全員が作業できるように教育されています。

大豆の工程

大豆脱皮

大豆脱皮、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

米麹作りとは別に、仕込みで使う大豆の加工です。

白味噌では大豆の薄皮をできるだけ脱皮します。白味噌特有の作り方です。赤味噌・田舎味噌でもこだわった商品は脱皮するものがあります。

白味噌の仕込みで使う大豆は商品より違いますが140㎏です。脱皮機を使い約1時間ほどかけて丁寧に行います。

白味噌の色やキメ細かさに影響する重要な工程です。

大豆脱皮の詳細

大豆の洗浄

白味噌の作り方、大豆の洗浄

3日目、米麹作りが大詰めを迎える中、並行して大豆を洗浄します。

米の洗浄と同じ機械を使います。米は洗いすぎに注意が必要ですが、大豆は徹底的に洗います。

洗浄だけでなく脱皮工程で取りきれなかった皮をさらに取り除くことも重要です。

大豆の浸漬

大豆浸漬、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

洗浄後はすぐに浸漬します。

米とは異なり、大豆に十分に水を吸わせてふっくら柔らかく煮ることができるよう12時間以上、浸漬します。

大豆浸漬は微調整は必要ありませんが、大豆の産地や品種、新大豆であるか1年経過しているか、浸漬時の水温(季節)などによって煮る工程で微調整が要ります。

大豆煮

大豆煮、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

4日目、仕込み当日の早朝、米麹が出てくるのと同時に洗浄・浸漬しておいた大豆を煮ます。

赤味噌は大豆を蒸す。白味噌は煮るのが独特の作り方です。ただ単に煮るだけでなく白味噌特有のクリーム色をより鮮やかに出すために煮始め前の水替えをいれて4回の煮汁入替えをします。

大量に水が必要になる上に、煮過ぎても後の工程に悪影響が出るので水替えのタイミングや時間を図らなければなりません。

また煮る途中で灰汁を吹き流すことで雑味をなくす工程も含まれ、白味噌は赤味噌と違い複雑な煮方をします。

大豆煮の詳細へ

白味噌の仕込み

仕込み、白味噌(西京味噌)の作り方、手順

米麹に塩を切り、間もなく大豆も煮上がります。必要な材料がそろい白味噌の仕込みがようやくできるようになります。

仕込みに向けて種水(調整水)を準備します。種水とは仕込みに混ぜる煮沸した湯で、白味噌の硬さ・水分量を適度になるように加えます。

赤味噌では大豆の煮汁を種水として使うのが一般的ですが、白味噌の場合は大豆の風味が強すぎるのは好みません。また煮汁の色も白味噌にとっては白色の鮮やかさを半減させるので、種水を別途に準備します。

仕込み後は熟成に入ります。

仕込みの詳細

白味噌の熟成

白味噌(西京味噌)の作り方、熟成

仕込み後は素早く熟成に入ります。

白味噌特有の作り方ですが、熟成温度は非常に高温で50℃以上です。一般的な味噌の温醸・速醸と勘違いされる方もおられますが、そうではなく白味噌では必要な熟成温度です。

目的は速譲ではなく糖化にあります。本来、白味噌には水飴や砂糖などで甘い味付けをするのではなく、麹のチカラによる糖化で甘さを出すのが基本です。これは甘酒で50℃以上で保温する作り方と共通するものがあります。

熟成時間は各メーカーにばらつきがあります。長く高温を続ければ白味噌は黄色が強くなるので、色と白さのバランスが難しい工程です。

白味噌のスリ・冷却

白味噌をすり潰す、白味噌の作り方

熟成後、仕込んだ白味噌をすり潰す工程です。九重味噌では「すり」と呼んでいます。

この工程は企業秘密の部分が多いです。

 一般の味噌と違って白味噌では非常にキメ細かくすり潰します。普通の味噌はミンチ機に通すだけといった作り方ですが、白味噌では温度をかけつつ時間をかけて、とてもゆっくりとすっていきます。

最終段階の工程なので、これまで順調に進んだ白味噌作りは、ここで失敗すると台無しになってしまいます。色、硬さ、質感、など全体の印象にも影響してくる工程なので、白味噌スリはほぼ一定に調整しながらムラ無く進めることが非常に難しいです。

スリ終えた白味噌は冷凍庫で急速冷却します。アルコール添加が可能になる品温10℃以下まで冷やします。極上白味噌のような無添加の味噌はアルコール添加をしないので、スリ終了後に自然冷却して完成となります。

白味噌の酒精添加

目標温度まで冷却できなのを確認後、アルコールを添加します。味噌のアルコール量は2%が目安です。

10℃以下の白味噌は非常に硬くなっているので、攪拌機に移す作業は腱鞘炎になってしまうほど力が要る作業です。

出荷

滋賀県大津の九重味噌の店内

いかがでしたでしょうか。
これで白味噌が完成し、出荷できる状態になりました。

米麹の工程1-1から1-9までは、普通の味噌メーカーなら全て機械が行う作業です。いかに手作り味噌がコストがかかり、時間、手間がかかるものか、実感して頂けたかと思います。

九重味噌は、これからも手作り味噌のこだわりを捨てず、大量生産の味噌とは一味違うと言われ、お客様に選んでいただける価値ある味噌を守り高めていきたいと考えています。

ご注文・お問合せは、077-522-2184
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